EV普及で世界の石油消費が激減 年間6000億ドルの節約効果

電気自動車(EV)の急速な普及が、世界のエネルギー構造を大きく変えつつある。最新の分析によると、EVは世界の石油需要を日量170万~230万バレル削減しており、これはイランの石油輸出量の約70%に匹敵する規模だ。金額に換算すると年間約6000億ドル(約90兆円)ものエネルギー輸入コストの節約につながっているという。

■EV普及がもたらす石油需要の構造変化

国際エネルギー機関(IEA)の報告などによれば、世界のEV販売台数は2023年に約1400万台を突破し、累計では4000万台を超えた。中国が最大のEV市場であり、欧州、北米がこれに続く。こうしたEVの大量普及が、ガソリンやディーゼル燃料の需要を着実に押し下げている。石油輸入に依存する国々にとっては、貿易赤字の改善や経済安定に直結する重要な変化だ。

■タイもEV先進国として存在感

タイはASEAN域内でもEV普及に積極的な国の一つだ。タイ政府はEV産業を次世代の基幹産業と位置づけ、購入補助金や物品税の減税措置を導入してきた。2023年にはタイ国内でのEV新規登録台数が前年比約7倍に急増し、中国のBYDや長城汽車(GWM)などがタイに生産拠点を設けている。バンコク市内では電動バスやEVタクシーも増加し、街中で充電ステーションを見かける機会も格段に増えた。タイ政府は2030年までに国内の自動車生産の30%をEVにする目標を掲げており、日系自動車メーカーにとっても対応が急務となっている。

■日本への影響と今後の展望

タイはトヨタやホンダなど日系メーカーの重要な生産拠点であり、「アジアのデトロイト」とも呼ばれてきた。しかし中国系メーカーのEV攻勢により、タイの自動車市場における日本車のシェアは低下傾向にある。世界規模で進む脱石油の流れは、日本のエネルギー政策や自動車産業の戦略にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。EVの普及がさらに加速すれば、石油需要の減少幅は今後一段と拡大するとみられている。

出典: Bangkok Post

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