タイで2026年4月1日から、銀行での高額現金引き出しに対する規制が大幅に強化される。タイ中央銀行(BOT)が木曜日に官報で公示した新たな指令により、1日あたり500万バーツ(約2,100万円)以上の現金引き出しは「高リスク取引」に分類され、金融機関は顧客に対して資金の出所や使途について明確な説明と裏付け書類の提出を求めることが義務付けられる。
■高額引き出しには厳格な本人確認が必須に
新規制の下では、銀行は該当する取引に対して「厳格な本人確認措置(EDD)」を適用しなければならない。具体的には、信頼できる情報源をもとに顧客の事業内容や職業、勤務先、実質的支配者に関する最新情報を確認し、現金が必要な理由を裏付ける書類の提出を求める。場合によっては、顧客のリスク区分を「高リスク」に引き上げ、強化された確認手続きを行う必要がある。
顧客が十分な情報や書類を提出できない場合、銀行は現金取引そのものを拒否できる。合理的な理由の説明はあるものの書類が不完全な場合には、現金の金額を制限したり、銀行振込など追跡可能な方法への切り替えを促したりといった、より厳格なリスク管理措置の下でサービスを提供することが認められる。
また、ATMやモバイルバンキングなど電子チャネルを通じた取引についても、暗証番号やワンタイムパスワード、アプリ内認証、生体認証といった安全な方法による本人確認が求められる。現金化される小切手に基づく取引も規制の対象となる。
■背景にマネーロンダリング対策の強化
タイ中央銀行は、現金取引は十分な記録を残さずに行えるため資金の流れの追跡が困難になると指摘。今回の規制強化は、金融機関がマネーロンダリングなどの犯罪行為に悪用されることを防ぎ、銀行利用者を保護することが目的だと説明している。タイでは近年、特殊詐欺やオンライン詐欺の被害拡大を受けて、金融犯罪対策の強化が急務となっている。
ウィタイ・ラタナコーン中央銀行総裁は最近、総額2億5,000万バーツ(約10億5,000万円)を超える異常に大口の現金引き出しを検知したことを明らかにし、一部の顧客が500バーツ紙幣のみを指定して引き出していた不審な事例があったと述べた。500バーツ紙幣はタイで最も高額の紙幣であり、大量の現金を持ち運ぶ際に利用されやすい。
■両替業者への規制も同時に強化
中央銀行は両替業者に対する規制も併せて強化する。1人あたりの1日の両替限度額は80万バーツ(約336万円)、ミャンマーやカンボジアなどとの国境地域では20万バーツ(約84万円)に制限される。不正な現金が正規の金融システムに流入することを防ぐ狙いがある。
タイに在住・滞在する日本人にとっては、不動産購入や事業資金など高額の現金を扱う場面で影響が出る可能性がある。大口の現金取引を予定している場合は、資金の出所を証明できる書類をあらかじめ準備しておくことが重要だ。新規制は2026年4月1日から施行される。
出典: Bangkok Post


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