カタールの主要LNG生産拠点であるラスラファン工業都市が大規模な攻撃を受け、世界のエネルギー市場に激震が走っている。LNG(液化天然ガス)の国際価格は急騰し、輸入国への影響が懸念されている。
ラスラファンはカタール北東部に位置する世界最大級のLNG生産・輸出拠点で、カタールが誇る年間約7700万トンの液化能力の大部分を担っている。この施設が被害を受けたことで、世界のLNG供給網に深刻な混乱が生じる可能性がある。
タイにとって今回の事態は対岸の火事ではない。タイは天然ガス火力発電への依存度が高く、国内の電力供給の約6割を天然ガスに頼っている。かつてはミャンマーからのパイプラインガスや国内のタイ湾産ガスで需要を賄えていたが、近年は国内ガス田の生産量減少やミャンマー情勢の不安定化に伴い、カタールをはじめとする中東諸国からのLNG輸入を急速に拡大してきた。タイ国営石油会社PTTはカタールエナジーとの間で長期LNG調達契約を結んでおり、同国はタイにとって最も重要なLNG供給元の一つとなっている。
供給の逼迫が長期化すれば、タイ国内の電力コストや工業用ガス価格の上昇は避けられない。タイ政府はすでにエネルギー価格の高騰対策として電気料金の補助制度を実施しているが、調達コストがさらに膨らめば家計や企業への負担増大が見込まれる。バンコクを中心に展開する日系製造業にとっても、生産コストの上昇要因として注視が必要だ。
タイ在住の日本人や日系企業関係者は、今後の国際エネルギー価格の動向とタイ政府のエネルギー政策の行方に注意を払う必要がある。タイのエネルギー規制委員会(ERC)は電気料金の改定を4カ月ごとに行っており、次回の見直し時期にLNG高騰分がどの程度反映されるかが焦点となりそうだ。
出典: Bangkok Post



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