タイ政府が2026年に向けて掲げる大型観光復興計画に、中東紛争の長期化が深刻な影を落としている。フライトの欠航や迂回ルートの増加に伴う航空運賃の高騰が、タイを訪れる外国人観光客の足を鈍らせる恐れがあるためだ。
タイは新型コロナ禍からの観光回復を最重要課題に位置づけ、2024年には外国人観光客数が約3500万人に達する見通しを示していた。セター前首相からペートンターン首相へと政権が移行した後も、観光立国路線は維持されており、2026年には過去最高の観光収入を目指すとの方針が打ち出されている。タイの国内総生産(GDP)に占める観光関連収入の割合は約2割と大きく、景気回復の柱として期待されている。
しかし、中東地域ではイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が長期化し、イランやレバノンを巻き込む形で緊張が拡大。欧州やアジアと中東を結ぶ航空路線では、紛争空域を避けるための迂回運航が常態化している。これにより飛行時間が延び、燃料費が増加した分が航空運賃に転嫁される構図だ。中東経由で欧州からタイへ向かう旅客便にも影響が及んでおり、タイ国際航空やエミレーツ航空など中東ハブを利用する便でスケジュールの乱れが報告されている。
タイにとって欧州からの長距離旅行者は滞在日数が長く客単価が高い重要な市場であり、航空運賃の上昇は旅行先の選択にも直結しかねない。さらに原油価格の上昇はジェット燃料費だけでなく、国内の物価にも波及し、旅行者の現地消費にも影響を与える可能性がある。タイ観光庁(TAT)は東南アジアや東アジアからの近距離市場の取り込みを強化する姿勢を示しているが、日本人観光客を含む各国からの誘客競争も激化しており、楽観できる状況ではない。中東情勢の行方次第では、タイの観光復興シナリオの見直しを迫られる局面も想定される。
出典: Bangkok Post



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