イラン政府は、米国およびイスラエルが同国の複数の石油・ガス生産施設に対して攻撃を行ったと発表した。攻撃対象には、世界最大級の天然ガス田として知られる「サウスパルス・ガス田」も含まれているという。サウスパルス・ガス田はペルシャ湾に位置し、イランとカタールが共有する巨大資源であり、イラン経済の生命線ともいえる重要拠点だ。
イラン側はこの攻撃を受け、「レッドライン(越えてはならない一線)はもはや変わった」と宣言し、強い怒りを表明した。石油・ガスのエネルギーインフラが直接の攻撃対象となるのは今回が初めてとされ、中東情勢は新たな段階に突入した可能性がある。
これまでイスラエルとイランの間では、核関連施設や軍事拠点をめぐる緊張が続いてきたが、エネルギー施設への攻撃は双方ともに暗黙のタブーとされてきた。今回の攻撃がこの不文律を破ったことで、イランが大規模な報復に出るリスクが高まっている。
原油市場への影響も懸念される。イランは石油輸出国機構(OPEC)の主要加盟国であり、日量約300万バレル以上の原油を生産している。攻撃による供給途絶が長期化すれば、国際原油価格の急騰につながる恐れがある。
タイにとっても中東情勢の緊迫化は無関係ではない。タイは原油の大部分を中東からの輸入に依存しており、原油価格の高騰は国内の燃料費や物価に直結する。タイ政府はこれまでも中東紛争の激化に伴い、軽油やガソリンの価格補助金の延長を余儀なくされてきた経緯がある。バンコク在住の日本人駐在員や現地進出企業にとっても、物流コストの上昇や物価への波及が懸念材料となりそうだ。
今後、国連安全保障理事会での議論や各国の外交的対応が注目される。タイを含むASEAN諸国がどのような立場を取るかも、地域の外交バランスに影響を与える可能性がある。
出典: Bangkok Post



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