タイで軽油不足が深刻化 アユタヤのゾウが道路を歩いて出勤する事態に

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タイの古都アユタヤで、深刻化する軽油不足の影響がゾウの観光施設にまで及んでいる。2026年3月18日、普段はトラックで輸送されているゾウ15頭が、約5キロの道のりを徒歩で移動する異例の光景が見られた。

徒歩で移動したのは、アユタヤ郊外のスアンプリック地区にある「ロイヤル・エレファント・クラール・ビレッジ」のゾウたち。目的地はユネスコ世界遺産にも登録されているアユタヤ歴史公園内の観光施設「アユタヤ・エレファント・パレス・アンド・ロイヤル・クラール」で、観光客にゾウ乗り体験などを提供している。安全確保のため移動は2回に分けて行われ、午前7時半に7頭、午前8時に8頭が出発した。沿道では住民が足を止め、ゾウの行列を見守ったという。

施設オーナーでタイ象連盟協会のライトンリアン・ミーパンさんによると、通常は2台のトレーラートラックでゾウを輸送しているが、軽油不足の長期化とガソリンスタンドでの配給制により、十分な燃料の確保が難しくなっている。「以前は燃料不足は起きないと言われていましたが、実際には事業者への影響が明らかに出ています」とライトンリアンさんは語った。

このため施設では、昔ながらの徒歩移動に切り替えることで燃料消費の削減を図っている。稼働するゾウの数も1日約35頭から15頭に半減させた。一方で、高齢のゾウは自力での長距離移動が難しく、餌場への輸送には依然としてトラックが必要だという。徒歩移動の際は、交通渋滞を避けるための時間差出発、バイクによる護衛のほか、道路上の排泄物を即座に回収するトレーラーも同行させるなど安全・衛生面での対策を講じている。

燃料不足の影響はゾウの餌の確保にも波及しつつある。ゾウの主食の一つであるパイナップルは、東部ラヨーン県からトラックで約300キロの距離を輸送する必要がある。ラヨーンは果物の一大産地として知られ、パイナップルやドリアンの栽培が盛んな地域だ。配達を担当するトラック運転手は、輸送ルート上の16カ所以上のガソリンスタンドを回っても軽油が見つからなかったと証言する。ようやく見つけたスタンドでも配給制のため限られた量しか給油できず、一部の店舗では次の入荷まで最大5日かかると告知していたという。通常の往復には約6,000バーツ(日本円で約2万5,000円)の燃料費がかかるが、現在は1回の給油が500〜1,000バーツに制限されており、物流に深刻な支障が出ている。

ライトンリアンさんは「このまま燃料不足が続けば、ゾウの餌の供給自体が立ち行かなくなる恐れがある」と危機感を示し、必要に応じて市民からの餌の寄付を呼びかける考えを明らかにした。最悪の場合、ゾウを自然の中に放ち、自ら餌を探させなければならなくなる可能性にも言及した。タイでは現在、一部地域で軽油の供給不安が広がっており、観光業や物流を中心に各地で影響が報告されている。

出典: Bangkok Post

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