中東情勢の緊迫化が世界経済に深刻な影響を及ぼしている。イランとの戦争が3週目に入った3月17日、原油価格は大幅に上昇し、アジア各国の株式市場は軒並み下落した。欧州の午前取引でブレント原油は約3%値上がりし、1バレルおよそ106ドルに達した。
■原油急騰の引き金はハルク島への攻撃
原油価格の急騰は、トランプ米大統領が週末にイランのハルク島にある軍事目標への攻撃を発表したことがきっかけだ。ハルク島はペルシャ湾に浮かぶ小島で、イラン産原油のほぼ全量がここから輸出されている。トランプ大統領はさらに、イランがホルムズ海峡の航行を妨害し続けるなら、攻撃をエネルギーインフラにまで拡大する可能性があると警告した。同海峡は2月28日の米国・イスラエルによる軍事作戦の開始以降、事実上閉鎖された状態が続いている。ホルムズ海峡は世界の原油供給の約5分の1と大量の天然ガスが通過する最重要水路であり、閉鎖の長期化は世界のエネルギー市場に甚大な打撃を与えかねない。タイもまた中東からの原油輸入に依存しており、国内のガソリン価格や物価への影響が懸念されている。
■日本が戦略石油備蓄の放出を発表
日本政府は同日、戦略石油備蓄の放出を開始すると発表した。国際エネルギー機関(IEA)が先にアジア・オセアニア地域から優先的に放出を始めると示唆していたことを受けた対応だ。IEA加盟国は3月11日、戦争による原油価格の高騰を抑えるため、史上最大規模となる備蓄石油の協調放出で合意しており、欧州と北米での放出は3月末までに始まる見通しだ。
■EUは海軍任務の拡大と首脳会議を準備
EU27カ国のエネルギー担当閣僚はブリュッセルで緊急協議を開き、木曜日に予定される首脳会議に向けた準備を進めた。首脳会議では、急騰するエネルギー価格から家庭や企業を守るための対策が議論される。すでに燃料税の引き下げや国内での価格上限設定を打ち出した加盟国もあるほか、EUに対して炭素排出権取引制度の緩和や電力価格の算定方式の見直しを求める声も上がっている。
また、EUの外交トップであるカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は、ホルムズ海峡の再開を支援するため、紅海で展開中の海軍任務の拡大についてEU外相らが協議すると明らかにした。検討されている選択肢の一つは、イランが支援するイエメンのフーシ派の攻撃から商船を守るために設置された「アスピデス作戦」の任務範囲を変更することだという。フーシ派はイエメンの武装組織で、紅海を航行する船舶への攻撃を繰り返し、国際物流に大きな混乱を引き起こしてきた。
一方、中国は同日、今月予定されるトランプ大統領の訪中について米国側と協議中であると発表した。これに先立ちトランプ大統領は、ホルムズ海峡の再開に中国が協力しなければ習近平国家主席との首脳会談を延期する意向を示唆しており、米中間の駆け引きも激しさを増している。
出典: Bangkok Post



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