タイ政府が、中東情勢の緊迫化によるエネルギー供給の途絶リスクに備え、米国の大手LNG(液化天然ガス)企業と供給量の拡大や納入前倒しに向けた交渉を進めていることがわかった。
アッタポン・ルークピブーン・エネルギー大臣は、エネルギー省の関係者やタイ国営石油大手PTTの幹部とともに、米ヒューストンに本社を置くシェニエール・エナジー社のアナトル・フェイギン最高商務責任者と会談した。シェニエール・エナジーは世界最大級のLNG生産・輸出企業として知られ、PTTとは長期供給契約を結んでいる。
交渉の焦点となったのは、既存の長期契約に基づくタイ向けLNG供給量の引き上げだ。現行の年間100万トンを130万トンに増やし、2041年まで残る約15年間のエネルギー安全保障を強化する方針が話し合われた。
さらに、一部のLNG貨物について納入スケジュールの前倒しも協議された。具体的には、2026年第3四半期に予定されていた出荷を第2四半期に繰り上げる案が提示された。中東紛争が長期化した場合に備え、タイへのエネルギー供給を途切れさせないための措置だ。アッタポン・エネルギー大臣によると、シェニエール・エナジー側は納入前倒しに最善を尽くすと約束したという。
タイは天然ガスの国内生産量が減少傾向にあり、LNG輸入への依存度が年々高まっている。調達先の多様化はタイのエネルギー政策における重要課題となっている。
アッタポン・エネルギー大臣は、政府がすでにエネルギー危機に対する複数の対策を並行して実施していることも明かした。石油輸出の一時停止や国家石油備蓄の積み増し、中東以外の地域からの代替調達先の確保に加え、バイオ燃料の利用拡大、石油基金を活用した価格変動の影響緩和、省エネルギーの推進などを進めているという。同大臣は「タイはこの危機を一丸となって乗り越えられると国民の皆様に保証したい」と述べた。
なお、PTTは今年1月28日にシェニエール・エナジーとの長期契約に基づく米国産LNGの初の貨物をすでに受領しており、今回の交渉はこの取引関係をさらに拡大する動きとなる。
出典: Bangkok Post



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