タイのネット詐欺被害が週12億円超 働き盛りの女性が最大の標的に

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バンコク発――タイで深刻化するオンライン詐欺の被害が、またも巨額に上っていることが明らかになった。タイのオンライン詐欺対策センター(ACSC)が2026年3月9日に公表した最新データによると、3月1日から7日までの1週間で報告された被害総額は約4億3,400万バーツ(約12億円)に達した。届け出件数は7,682件で、前週から312件増加している。一方、被害総額は前週比で約2,600万バーツ(約5.6%)減少しており、1件あたりの被害額はやや縮小した形だ。

ACSCはタイ警察のオンライン通報窓口「Thaipoliceonline」を通じて詐欺被害の届け出を受け付けている。タイでは近年、SNSやメッセージアプリを悪用した詐欺が急増しており、政府が2022年に同センターを設置して対策を強化してきた経緯がある。

■件数トップはネット通販詐欺、被害額トップは投資詐欺

届け出件数で最も多かったのはオンラインショッピングや商品販売に関する詐欺で5,244件。日常的に利用するネット通販を狙い、少額を広範囲からだまし取る手口が横行している。次いで求人詐欺、なりすまし詐欺が多かった。

しかし被害額ベースでは順位が入れ替わり、投資詐欺が約1億4,660万バーツ(約4億4,000万円)で首位に返り咲いた。前週の約1億1,430万バーツから大幅に増えている。求人詐欺が1億1,480万バーツ超で2位、商品販売詐欺が3位に浮上した。

■46歳男性が約4,200万円の被害に

ACSCが具体例として取り上げたのが、46歳のタイ人男性の投資詐欺被害だ。男性はLINE上で「Phim」と名乗るアカウントから接触を受け、高収益をうたう偽の投資サイトへの出資を勧誘された。複数回にわたり送金を重ねた結果、被害総額は約1,384万バーツ(約4,200万円)に上った。警察は被害届の受理後、手口の説明や証拠収集の助言を行うとともに、関連する金融口座の凍結手続きを進めている。

また、78歳の女性がコールセンター型の電話脅迫詐欺に遭い、恐怖から現金200万バーツ(約600万円)を引き出して別口座に移そうとしていたケースでは、ACSCの通報を受けた警察が銀行窓口で送金を阻止し、被害を未然に防いだ。

■狙われる30〜40代女性、在タイ日本人も警戒を

週間分析では前週に引き続き、女性の被害報告が男性を上回り、最も被害が集中した年齢層は31〜40歳の働き盛り世代だった。ACSCは「異常に高いリターンを約束する誘い」や「即断を迫るメッセージ」に警戒するよう繰り返し呼びかけている。投資案件を検討する際は、タイ証券取引委員会(SEC)が提供する公式アプリ「SEC Check First」で事業者の登録状況を確認することが推奨されている。

ACSCによると、詐欺グループは正規の名前やロゴを精巧に模倣した偽アプリを作成しており、App StoreやGoogle Playに掲載されている場合もあるため、公式ストアからのダウンロードだけでは安全とは限らないという。送金のたびに受取口座の情報を確認する習慣が、被害防止の基本になる。

当該週にはACSCと関係機関が9件の緊急調査を実施し、24件で詐欺グループへの送金を未然に阻止。計約289万バーツを回収したほか、8件で容疑者を逮捕した。東北部カラーシン県では、資金洗浄用のいわゆる「運び屋口座」を使って現金を引き出していたとされるグループの容疑者4人が大型商業施設内で拘束され、現金30万バーツが押収されている。警察は組織犯罪の容疑で起訴するとともに、首謀者の特定に向けて捜査を拡大する方針だ。

タイではLINEやFacebookなど日本人にもなじみの深いSNSが詐欺の入口に使われるケースが多い。在タイ日本人も決して無関係ではなく、不審な投資話や高額報酬の求人には十分注意したい。

出典: Bangkok Post

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