タイ南部スラタニ県のパンガン島で、観光客への薬物販売に関与していたとして、ロシア国籍のDJ、アントン被告(41)が観光警察に逮捕された。パンガン島はフルムーンパーティーで世界的に知られるリゾートアイランドで、毎月数万人の外国人観光客が訪れる。
■情報提供から追跡、逮捕へ
事件の発端は、地元の情報提供者からの通報だった。パンガン島の通称「ボカヤ」(ゴミ捨て場通り)付近に住む外国人男性が、観光客に複数の種類の薬物を売りさばいているとの情報が寄せられた。容疑者はプーケットナンバーの赤いセダンで島内を移動していたとされる。
通報を受けた観光警察は車両の追跡を開始。路地から猛スピードで飛び出してきた赤い車を発見し、不安定な運転から飲酒や薬物使用の疑いがあると判断した。警察はバーンタイ地区のフアティアン埠頭まで追跡し、運転していたアントン被告を確保。同被告は自宅を出る前にコカインを使用したことを認めたという。
■自宅から販売用の薬物を多数押収
その後、警察が通報のあった住宅を捜索したところ、小分けにされた状態の薬物が複数種類見つかった。アントン被告はパンガン島の娯楽施設でDJとして働いており、捜査当局はこの立場を利用して観光客と接触し、パーティー会場周辺で薬物を販売していたとみている。
さらに注目されているのは、薬物の仕入れ方法だ。アントン被告の供述によると、メッセージアプリ「テレグラム」で薬物を注文すると、AIの自動応答システムが起動。薬物の種類を選択してクレジットカードで決済すると、GPS座標が送られてくる仕組みだったという。指定された場所に行き、地中に埋められた薬物を掘り出して受け取っていたと供述している。
■当局は越境ネットワークの解明へ捜査拡大
アントン被告はコカインやMDMA(エクスタシー)の販売目的所持、ケタミンの取引目的販売、コカイン使用など複数の罪で起訴された。身柄と押収品はパンガン島警察署の捜査官に引き渡されている。
今回の捜査はサキサラ・プアカム観光警察局次長が主導する、タイの観光イメージを守るための外国人犯罪取り締まり強化策の一環だ。観光警察のウィニット・ブーンチット警部補は「今回の逮捕はパンガン島にとって重大事件だ」と述べ、一部の外国人がDJ業などを隠れ蓑に薬物を販売し、島内の複数地点で受け渡しを行っていた実態を明らかにした。
当局はAIを活用した越境薬物ネットワークとの関連性も視野に入れ、捜査をさらに拡大する方針だ。タイでは近年、観光地での薬物犯罪が社会問題化しており、特にパーティー文化が根付くパンガン島やプーケットでの取り締まり強化が進められている。
出典: Bangkok Post



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