中東戦争で原料届かずタイ大手が石油化学プラント操業停止

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中東情勢の激化がタイの産業界に深刻な影響を及ぼし始めている。タイ最大級の複合企業サイアムセメント・グループ(SCC、タイ証券取引所上場)が、原料不足を理由にタイ東部ラヨーン県マプタプット工業団地にある石油化学プラントの操業を一時停止したことが分かった。マプタプットはバンコクの南東約180キロに位置するタイ最大の石油化学工業地帯で、日系企業も多数進出している。

トリニティ証券とリベレーター証券の分析によると、操業を停止したのはSCCの石油化学部門を担うSCGケミカルズ(SCGC)傘下のラヨーン・オレフィンス(ROC)。中東紛争の影響でホルムズ海峡の航行に支障が生じ、ROCが3月に受け取る予定だった原料の約3割が届いていないという。同社は通常、原料の7割を中東から輸入し、残りの3割を国内で調達している。リベレーター証券がSCCとアナリストとの緊急電話会議の内容として伝えたところでは、天然ガスを代替原料として使用することは可能だが、それでもROCの総生産能力の15〜20%しかカバーできないという。

■原油価格は60%急騰、世界のLNG供給にも打撃

イノベストエックス証券のピチャイ・レルツポンキット最高商業責任者は、ホルムズ海峡の航行障害によりクウェート、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)など複数の産油国が石油生産を削減したと指摘。さらにイランの攻撃を受けてカタールが液化天然ガス(LNG)の生産を停止した結果、世界のLNG供給量が約20%減少したと分析した。

ピチャイさんによれば、原油価格はここ数日で約60%急騰し、国際指標のブレント原油は1バレル111米ドルまで上昇している。「中東での軍事攻撃が激化したことで、先週すでに30%上昇していた原油価格は今週に入っても上昇が止まらない」と同氏は警鐘を鳴らした。原材料を十分に確保できず、やむを得ず生産を停止する企業も出始めているという。

■電子部品や自動車部品にも波及、長期化なら影響拡大

影響を受ける業種は石油化学、包装、プラスチックにとどまらない。プラスチック部品を使用する電子部品メーカーや自動車部品メーカーにも打撃が広がっているとピチャイさんは指摘した。タイには日系自動車メーカーの生産拠点が集中しており、サプライチェーンへの波及が懸念される。

トリニティ証券のエッカリン・ウォンシリさんは、「ホルムズ海峡の状況がいつまで続くかが最大の焦点だ」と強調する。数週間以内に解決すれば影響は一時的な操業停止にとどまる見通しだが、来月中旬以降まで長期化した場合、タイとベトナムの両国でクラッカー(ナフサなどを分解して石油化学製品の基礎原料を製造するプラント)が相次いで操業停止に追い込まれるリスクが大幅に高まるとの見方を示した。

出典: Bangkok Post

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