アジア各国の株式市場が大幅に下落し、タイの代表的な株価指数であるSET指数も2020年3月の新型コロナウイルスによるパンデミック発生時以来となる急激な週間下落を記録した。中東地域での軍事衝突の激化に伴い、原油をはじめとするエネルギー価格が世界的に高騰したことが主な要因だ。
タイは原油の大部分を輸入に頼っており、エネルギー価格の上昇は国内の物流コストや製造業のコスト増に直結する。バーツ安も重なれば輸入コストはさらに膨らみ、消費者物価の上昇を通じて国民生活にも影響が及ぶ。バンコクを中心に事業を展開する日系企業にとっても、原材料費や輸送費の上昇は収益の圧迫材料となる。
タイ経済はもともと輸出と観光を両輪としてきたが、中国経済の減速による輸出の伸び悩みや、コロナ禍からの観光回復の遅れなど構造的な課題を抱えている。こうした中で外部ショックが加わったことで、投資家の間にリスク回避姿勢が一気に広がった形だ。タイ証券取引所によると、外国人投資家による売り越しが週を通じて続き、市場全体の下げ幅を拡大させた。
タイ中央銀行と財務省は経済動向を注視しており、必要に応じて金融・財政面での対応策を検討する姿勢を示している。タイ政府はかねてよりエネルギー補助金や燃料税の一時的な減免措置を通じて国内の燃料価格の抑制に取り組んできたが、国際価格の高騰が長期化すれば財政負担が増大するリスクもある。
在タイ日本人の間では、資産運用や為替への影響を懸念する声が出ている。バンコクの日系証券会社の担当者は、当面は中東情勢とエネルギー市場の動向を慎重に見極める必要があるとの見方を示している。
出典: Bangkok Post



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