イラン情勢緊迫でASEANのエネルギー戦略に波及か タイへの影響は

経済投資

中東で続くイラン情勢の緊迫化が、ASEAN諸国のエネルギー安全保障やサプライチェーンに影を落としている。原油価格の変動リスクが高まるなか、東南アジア各国は経済戦略の見直しを迫られつつある。

ASEAN加盟国の多くは中東産原油への依存度が高く、ホルムズ海峡の通航リスクが上昇すれば、原油・天然ガスの調達コストが直撃する構造にある。特にタイは、国内で消費するエネルギーの約6割を輸入に頼っており、中東情勢の不安定化は燃料価格や物流コストの上昇を通じて国民生活に直結しやすい。タイ政府はかねてよりエネルギー供給源の多角化を掲げ、再生可能エネルギーの拡大や国内天然ガス開発を推進してきたが、短期的には中東依存から脱却しきれていないのが実情だ。

また、中東リスクの高まりはASEAN域内のサプライチェーンにも波及する。タイは自動車部品や電子機器の生産拠点として日系企業を含む多くの外資が集積しており、原材料の調達や物流の混乱は製造業全体に影響を及ぼしかねない。バンコク日本人商工会議所に所属する企業の間でも、調達先の分散やリスク管理の強化を検討する動きが出ているとされる。

さらに、地政学リスクの上昇は外国からの投資判断にも影響する。ASEAN各国は中国に代わる製造拠点として注目を集めてきたが、エネルギーコストの不透明感が続けば、投資家の慎重姿勢を招く可能性もある。タイのセター前首相が主導した外資誘致策の成果を持続させるうえでも、エネルギー安定供給の確保は喫緊の課題といえる。

ASEANは域内協力を通じたエネルギー安全保障の枠組みづくりを模索しており、2024年のASEAN首脳会議でもエネルギー分野の連携強化が議題に上った。イラン情勢の行方次第では、タイをはじめとするASEAN経済の回復力が改めて試されることになりそうだ。

出典: Bangkok Post

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