タイ投資委員会(BOI)は中国大使館と連携し、大規模な投資フォーラムを開催した。800人以上の中国投資家が参加し、EV(電気自動車)やAI(人工知能)などハイテク分野への投資拡大を呼びかけた。BOIは今後5年間で6000億バーツ(約2兆5000億円)超の資金がタイ国内で循環すると見込んでいる。
BOIはタイの投資政策を統括する政府機関で、外国企業の誘致や税制優遇の付与を担っている。近年は従来の労働集約型産業から脱却し、EV製造やデジタル産業といった高付加価値分野への転換を急いでいる。タイ政府が掲げる経済政策「タイランド4.0」のもと、先端技術産業の集積地を目指す戦略の一環だ。
とりわけ中国からの投資は近年急増している。米中貿易摩擦の長期化を背景に、中国企業がサプライチェーンの多元化を図る中、タイは東南アジアの製造拠点として注目を集めてきた。EVメーカーのBYDや長安汽車がタイに生産工場を建設するなど、中国系企業の進出が相次いでいる。タイ政府もEV購入時の補助金制度や関税優遇策を導入し、アジアのEVハブとしての地位確立を狙っている。
今回のフォーラムでBOIは「タイで、タイのために」というスローガンを掲げ、単なる生産拠点ではなく、現地のサプライチェーン全体を底上げする投資を重視する姿勢を打ち出した。タイの部品メーカーや中小企業との連携を促し、技術移転や人材育成につなげたい考えだ。
一方で、中国企業の急速な進出に対しては懸念の声もある。タイ国内の自動車産業では日系メーカーが長年にわたりシェアを占めてきたが、中国製EVの台頭により競争環境が大きく変化している。日系企業にとっては、タイ市場での戦略見直しが急務となっている。タイ在住の日本人ビジネス関係者にとっても、今後の投資動向から目が離せない状況が続きそうだ。
出典: Bangkok Post



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