タイ国会議員に賭博疑惑 数十億バーツ規模の闇ネットワーク摘発

事件事故

タイの特別捜査局(DSI)は、数十億バーツ(数百億円相当)規模の資金が流通していた大規模オンライン賭博ネットワークの摘発作戦「オペレーション・ゲームフロー」の詳細を公表した。捜査の過程で、現職の国会議員との関与を示す重要な証拠が浮上し、タイ国内に大きな波紋を広げている。

■現職国会議員を召喚 政界への波及が焦点に

DSIは、タイ南部ソンクラー県選出の国会議員チョンナパット・ナカスさんについて、オンライン賭博運営および資金洗浄への関与が疑われるとして、3月12日に出頭するよう召喚状を発付した。ただし、現時点では逮捕令状は発行されていないとDSI側は明言している。チョンナパットさんはタイ南部を地盤とする政治家で、捜査当局は同氏と少なくとも10のオンライン賭博サイトとのつながりを示す証拠を確保したとしている。

3月5日にバンコクのDSI本部で開かれた記者会見には、ルタポル・ナオワラット法務大臣をはじめ、DSI幹部や反マネーロンダリング局(AMLO)の幹部らが出席し、捜査の進捗を説明した。ルタポル法務大臣は、アヌティン・チャーンウィラクル首相が国家公務員の関与するハイテク犯罪の取り締まりを最優先課題に位置付けていることを強調した。アヌティン首相は2024年に就任したタイの現首相で、犯罪対策の強化を政権の重点施策に掲げている。

■4県10カ所を一斉捜索 1億5800万バーツの資産を差し押さえ

3月5日の作戦では、DSIとAMLOの合同チームがソンクラー県5カ所、バンコク都2カ所、ノンタブリー県2カ所、パトゥムターニー県1カ所の計10カ所で一斉捜索を実施した。刑事裁判所が発付した令状に基づき、捜査官は1935年賭博法および1999年資金洗浄防止法違反の容疑で、ナレラート被告(姓は非公表)を逮捕した。さらに追加で1200万バーツ(約5000万円)相当の資産を押収している。

AMLOのカモルシット・ウォンブットノイ副事務局長は、ネットワークに関連する金融活動を広範に調査した結果、現金や高級車、不動産を含む総額1億5800万バーツ(約6億5000万円)相当の資産を差し押さえたことを明らかにした。また、18名の個人に紐づく18の銀行口座が凍結され、今後数週間で銀行側から詳細な取引情報が提供される見通しだという。

■36人を特定、17人に懲役20年 カンボジアへの逃亡者も

これまでの捜査で、オンライン賭博と資金洗浄に関与した計36人が特定されており、そのうち17人にはすでに懲役20年の判決が言い渡されている。一方で12人が依然として逃亡中で、DSIはAMLOと連携して行方を追っている。

さらにDSIは特別事件第150/2025号として捜査を拡大し、カンボジアに潜伏しているとみられる25人の容疑者を新たに特定した。その大半はネットワークの管理者クラスとされる。カンボジアはタイと国境を接し、近年オンライン詐欺やギャンブル拠点として東南アジアの犯罪組織が活動の場とするケースが増えており、国際的な問題となっている。タイの有力紙カオソッド紙によると、捜査は現在も継続中で、さらなる関係者の摘発が見込まれている。

出典: Bangkok Post

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