タイ中銀が政策金利1%に引き下げ 追加利下げの可能性も示唆

経済投資

タイの中央銀行にあたるタイ銀行(BOT)の金融政策委員会(MPC)は、政策金利を0.25ポイント引き下げて1.0%とすることを決定した。委員7人のうち4人が賛成、2人が据え置きを主張する形での決定となった。

MPCは今回の利下げの目的として、中小企業や家計の金融負担の軽減、中期的なインフレ期待の安定化、そして米中貿易摩擦をはじめとする世界的な不確実性のもとでの企業活動の下支えを挙げた。今後リスクが高まった場合には追加利下げの可能性も排除しない姿勢を示している。

■タイ経済は潜在成長率を下回る低成長が続く見通し

MPCはタイ経済の現状を「脆弱」と評価しており、2026年から2027年の成長率は前年比2.0%前後にとどまると予測している。タイの潜在成長率とされる2.7%を大きく下回る水準だ。エネルギー価格の下落や政府の補助金政策の影響でインフレには下振れリスクがあり、総合インフレ率が目標範囲の下限に回復する時期は従来の見通しよりも遅れる見込みとなっている。一方で、タイ国内では新政権の樹立見通しが改善し、財政執行の遅れに対する懸念はやや後退した。

■中小企業の資金繰りは依然として厳しい状況

タイの中小企業にとっては厳しい状況が続いている。信用リスクの上昇を背景に金融機関の融資姿勢が慎重になっており、政策金利の引き下げにもかかわらず零細・中小企業向けの貸出金利はむしろ上昇している。さらにバーツ高が輸出企業の収益を圧迫しており、タイに拠点を置く日系企業にも影響が及ぶ可能性がある。

■金融政策だけでは限界、構造改革が不可欠

MPCは1.0%の政策金利を当面は適切な水準と評価する一方、今後の不確実性に備えて追加的な政策余地を確保しておく重要性を強調した。また、低金利環境が長引くことで過度なリスクテイクや不適切な資金配分が起こりうるリスクについても注視しているが、現時点では差し迫った脅威とは見ていないという。タイ経済が抱える競争力低下や産業構造の転換といった課題は金利操作だけでは解決できず、経済・金融分野での構造改革が不可欠だと改めて指摘した。

タイの政策金利は2020年のコロナ禍で過去最低の0.5%まで引き下げられた後、段階的に引き上げられていた。今回の利下げにより再び1%台を割り込む水準となり、タイ経済の回復の遅れが鮮明になっている。

出典: Bangkok Post

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