戦争をきっかけとした世界的な株安の波がタイにも押し寄せ、タイ証券取引所(SET)で9日、サーキットブレーカーが発動される事態となった。タイ株式市場で取引が一時停止されるのは極めて異例で、投資家の間に動揺が広がっている。
■サーキットブレーカー発動で全銘柄の取引が一時停止
同日正午過ぎ、SET指数が前日終値から8%を超えて急落し、サーキットブレーカーの第1段階が自動的に発動された。これにより、SET本体に加え、中小型株市場のmai、タイ先物取引所(TFEX)でも取引が一斉に停止された。タイのサーキットブレーカー制度は3段階で構成されており、8%の下落で第1段階が作動する仕組みだ。午後2時30分に取引は再開され、その後はやや持ち直す場面もあった。なお、取引再開後は全証券会社に対してプログラム取引(コンピューターによる自動売買)の使用が終日禁止された。
■終値は5.3%安 出来高は通常の約3倍に
SET指数の終値は前日比81.90ポイント(5.3%)安の1,384.61だった。1日の出来高は1,590億バーツ(約6,800億円)に膨らみ、通常の平均的な出来高の約3倍に達した。先週金曜日の終値と比べると9.4%の下落となる。この水準は、イスラエルと米国がイランへの攻撃を開始する直前の時点にあたる。
売買動向を見ると、国内の機関投資家が54億バーツ、証券会社の自己売買部門が95億バーツの純売り越しとなった。一方、割安になったタイ株に買いを入れた外国人投資家は10億バーツ強の純買い越し。タイの個人投資家も押し目買いに動き、139億バーツの純買い越しを記録した。
■大型株中心に幅広く売られる 地政学リスクが直撃
午前の取引では、タイを代表する大型株が軒並み急落した。エネルギー大手のガルフ・エナジー・デベロップメントや国営石油会社PTT、その探鉱・生産子会社であるPTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)のほか、電子部品大手のデルタ・エレクトロニクス・タイランド、タイ4大銀行の一角であるカシコーン銀行(カシコン銀行)など主要銘柄が大きく値を下げた。PTTはタイ最大の上場企業であり、SET指数への影響も大きい。
アナリストは、エネルギー関連株や景気敏感株の比重が高いタイ市場は、地政学的リスクや外部ショックに対してとりわけ脆弱だと指摘する。今回の急落により、先月行われたタイ総選挙でブムジャイタイ党が圧勝した後に積み上がった約14%の上昇分がほぼ帳消しとなった。ブムジャイタイ党はアヌティン・チャーンウィラクン党首が率いる与党で、選挙勝利を受けた政治的安定への期待からタイ株は上昇基調にあった。
SET指数は年初来ではなお約10%の上昇を維持しているものの、2025年末の終値は前年比10%減の1,259.67で、世界の主要市場の中でも最悪クラスのパフォーマンスだった。タイ在住の日本人投資家や、タイ関連ファンドに投資している日本の個人投資家にとっても、今後の地政学情勢とタイ経済への影響から目が離せない状況が続きそうだ。
出典: Bangkok Post



コメント