
■米国最高裁がトランプ大統領の関税権限を制限
トランプ大統領が相次いで発動している関税政策が、東南アジア地域全体に波紋を広げている。2月20日、米国最高裁判所は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税は違憲とする判決を下した。この判決により、昨年課された関税収入の約半分に当たる違法関税の還付を巡る問題が浮上している。
この判断を受けてトランプ大統領は即座に別の法的根拠に基づく新たな関税戦略へ転換。2月24日から150日間有効として、全世界の外国製品に対し10%の追加関税を課すと発表した。さらに翌日には15%への引き上げまで宣言している(2月26日現在は10%で調整中)。
■タイは「高関税グループ」に分類される懸念
タイを含む東南アジア各国への影響を分析したメイバンク・グループの最新報告書によれば、状況は国によって大きく異なる。シンガポールは米国との貿易上の優位性から被害が限定的と見込まれる一方、カンボジア(27.3%)やインドネシア(20.7%)、そしてタイ(17.2%)、ベトナム(20.7%)、フィリピン(17.1%)は米国の新たな世界平均関税率15%を上回る実効関税に直面する見通しだ。
タイが高関税グループに入った理由は、米国向け輸出品の多くが医薬品や半導体といった免除対象外の製品だからである。特に自動車部品や鉄鋼製品など高関税品目の輸出依存度が高い点が問題だ。
■今後の予測不可能な要素が市場を揺さぶる
より懸念すべきは、今後の政策の読みづらさである。トランプ大統領は通商法の第301条(不公正な貿易慣行対抗)、第232条(国家安全保障理由)、第338条(最大50%の報復関税)など複数の法的根拠を活用できる。現在、医薬品や航空機などの分野で調査が進行中であり、結果次第ではさらなる関税上乗せのリスクがある。
支払済みの違法関税の還付については、ペンシルベニア大学の試算で最大1750億ドルに上る可能性があるとされているが、実現には数か月から数年かかる見通し。タイの資本市場関係者も「返還は期待すべきでない」と指摘している。
アート・ピサンワニッチ氏ら独立系アナリストは、トランプ政権の関税決定に政治的配慮が反映される点を強調。生活費問題で支持率が低下している中での政策運営となるため、今後の動向から目を離せない状況が続きそうだ。
出典: Bangkok Post



コメント