タイ中部チャチューンサオ県で2026年3月19日夜、野生のゾウが民家の台所に侵入し、保管されていた米を食い荒らす騒動があった。その一部始終を捉えた防犯カメラの映像がSNSで拡散され、タイ国内で深刻化する人間と野生ゾウの衝突問題に改めて注目が集まっている。
チャチューンサオ県はバンコクの東約80キロに位置し、カオキチャクット山系など森林地帯に近い農村部が広がる地域だ。
■午後9時、犬の異常な吠え声から始まった
事件が起きたのは同県ター・タキアップ郡バーン・クローン・マハット集落の民家。午後9時頃、飼い犬が激しく吠え始めたため、住人の女性が外の様子を確認したところ、ゾウが家に侵入しようとしているのを目撃した。
女性はタイメディアの取材に対し「犬が吠え出したので何事かと思い外を見ると、ゾウが台所に入ろうとしていた。すぐに助けを呼んだ」と当時の恐怖を振り返った。
通報を受けた野生動物ボランティアと緊急対応チームが現場に急行したが、ゾウはすでに家の裏手にある木製ドアを押し開けて台所に入り込んでいた。ゾウは長い鼻を大きな米びつに突っ込み、周囲に米粒を散らかしながら食べ続けた。
■刺激せず静かに見守った当局の対応
駆けつけた当局はゾウを刺激しないよう慎重に対応した。ゾウは食事を終えると、自ら近くの森へと静かに立ち去った。同じ頃、もう1頭の野生ゾウが付近に姿を見せたが、家の中には入らなかった。幸いけが人は出なかった。
防犯カメラの映像には、ゾウが家の裏手から現れ、迷うことなく台所に向かう様子が記録されている。暴れるような素振りは一切なく、食べ物の場所を把握しているかのように落ち着いた動きだった。この映像はタイ国内だけでなく海外でも広く共有され、多くの視聴者が「面白いが恐ろしい」と反応した。
現場を調査した地元レンジャーは、散乱した米とドアの軽微な損傷を確認。当局はパトロールを強化し、地域に監視チームを新たに設置して再発防止に取り組んでいる。
■深刻化するタイの人間とゾウの衝突問題
こうした事案はタイでは珍しくない。タイには推定3000〜4000頭の野生ゾウが生息しているとされ、森林の開発や農地の拡大によって生息域が狭まると、食料を求めて村や民家、店舗に入り込むケースが各地で相次いでいる。タイ政府は野生ゾウに危害を加えずに森へ戻す取り組みを進めているが、人口密集地との境界管理は依然として大きな課題だ。在タイ日本人にとっても、郊外への旅行や居住の際にはゾウの出没情報に注意が必要といえる。
出典: Bangkok Post



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