中東紛争でバンコク発欧州便の運賃が倍以上に急騰の衝撃

経済投資

米国・イスラエル・イラン間の武力衝突が激化し、中東の主要空域とハブ空港が相次いで閉鎖に追い込まれている。この影響で、アジアと欧州を結ぶ航空路線の運賃が急騰し、タイ在住の日本人旅行者にも大きな打撃を与えている。

■バンコク~ロンドン便が片道22万円超に

特に深刻なのが、日本人利用者も多いバンコク~ロンドン路線だ。タイ国際航空では中東経由を避ける旅行者が殺到し、欧州行き便が数日間にわたって満席状態となっている。3月中旬の片道エコノミークラス運賃は7万1190バーツ(約22万6500円)まで跳ね上がり、同月下旬の通常運賃2万7045バーツ(約8万2000円)の2.6倍に達した。

これまでアジアから欧州への渡航では、ドバイやドーハなど中東のハブ空港を経由するルートが価格・利便性ともに優れた選択肢として広く利用されてきた。しかし戦争勃発による空域閉鎖で、航空各社はこれらの経由地を使えなくなり、人気のアジア~欧州路線で大幅な減便を余儀なくされている。

オーストラリアの大手旅行代理店フライトセンターでは、旅行者が中国やシンガポール、北米経由の代替ルートで再予約する動きが広がり、問い合わせ件数が75%も増加したと報告している。

■迂回ルートで燃料費かさみ運賃上昇は長期化の恐れ

制限空域を避けるため、航空会社は北ルート(コーカサス地方やアフガニスタン経由)または南ルート(エジプト・サウジアラビア・オマーン経由)への迂回を強いられている。飛行時間が延びれば燃料消費も増え、原油価格の高騰も重なって運航コストは大幅に膨らむ。アジア太平洋航空協会(AAPA)のサブハス・メノンさんは「欧州など主要地域への運航コストがこれほど高騰すれば、航空会社の収益性は確実に損なわれる」と警鐘を鳴らす。

通常1日1000便以上を捌くドバイ国際空港のようなメガハブが機能停止すれば、世界の航空ネットワーク全体の輸送力が大きく低下する。業界関係者は、接続性の喪失こそ「長期的な最大の代償」だと指摘している。

■タイの空港値上げも追い打ち 勝ち組と負け組が鮮明に

コスト上昇に追い打ちをかけるように、タイの空港を一元管理するタイ空港公社(AoT)は国際旅客サービス料を53%引き上げ、2026年6月20日から1120バーツとすることを発表した。バンコクのスワンナプーム空港をはじめタイの主要6空港を運営するAoTのこの決定に対し、航空運賃のさらなる値上がりにつながるとの批判の声も上がっている。

一方、直行便や中東を経由しないルートを持つキャセイパシフィック航空やシンガポール航空、トルコ航空は需要の急増で短期的な恩恵を受けている。反対に、エミレーツ航空やカタール航空といった中東を拠点とする湾岸系航空会社は、旅行者が紛争地帯を通る乗り継ぎを敬遠するため、大幅な市場シェアの喪失に直面している。

タイから欧州への渡航を予定している日本人は、運賃の動向を注視しつつ、シンガポールや東京経由など代替ルートの早めの確保を検討したほうがよさそうだ。

出典: Bangkok Post

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