中東情勢の悪化を受け、タイ証券取引所(SET)の株価指数が急落した。原油価格が1バレル100ドルを突破したことで投資家のリスク回避姿勢が強まり、アジア各国の市場とともにタイ株も大幅な売りに見舞われた。
■原油高騰でSET指数が約4%下落
月曜日の午前10時5分時点で、SET指数は55.96ポイント(3.97%)安と大きく値を下げた。主要銘柄の大半が寄り付きから売られる展開となり、タイ最大手のカシコーン銀行(KBank)は7.50バーツ安の180.50バーツ、電子部品大手のデルタエレクトロニクスは22バーツ安の233バーツ、電力・インフラ大手のガルフデベロップメントは3.50バーツ安の52.50バーツとそれぞれ下落した。一方、タイ国営石油PTTグループ傘下で石油・天然ガスの探鉱・生産を手がけるPTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)は、原油高の恩恵を受けて3バーツ高の144.50バーツと唯一上昇した。
背景には、米国・イスラエルとイランの軍事衝突が2週目に入り、終息の見通しが立たないことがある。ワシントンとテルアビブがイランへの軍事的圧力を強める中、原油供給への不安が市場を覆っている。
■アナリストは売り圧力の継続を予想
タイの大手証券会社ダオル証券で戦略調査担当副社長を務めるモンコル・プアンペトラさんは、中東紛争の行方がタイ市場を左右する最大の要因であり続けると指摘。状況がさらに悪化すれば、市場の不安定な値動きが長期化する可能性があるとの見方を示した。「タイ株式市場の売り圧力は先週から引き続くだろう」と述べ、今週のSET指数は1,360~1,450ポイントの範囲で推移すると予測した。
また、タイの大手ネット証券イノベストエックス証券はテクニカル分析の観点から、支持線を1,355ポイントと1,345ポイントに設定。これらの水準を割り込めば1,320ポイントまで下落するリスクがあると警告した。抵抗線は1,385~1,395ポイントとみている。
■投資戦略は現金確保と高配当株の選別買い
アナリストらは当面の投資戦略として、現金比率を高めるとともに、石油化学・航空・観光・電子機器など原油価格の影響を受けやすいセクターへの投資を控えることを推奨している。一方で、PTTEPやPTTといった上流エネルギー企業は、原油高に対するヘッジ手段として有効だという。
ブアラン証券(BLS)の株式調査責任者ピリヤポン・コンヴァニッチさんは、戦争懸念の高まりが世界的な株安を引き起こし、タイ市場にも波及していると分析。2月下旬以降、SET指数は約8%下落しているという。ピリヤポンさんは、売り圧力が続く中でもSET指数全体より下落幅の小さい高配当株を段階的に買い増す戦略を勧めている。
現在、配当利回りが高いセクターとしては、銀行(6.1%)、食品・飲料(5.8%)、不動産(5.0%)、エネルギー(4.7%)、通信(4.6%)が注目されている。タイ在住の日本人投資家にとっても、地政学リスクによる相場の混乱は不安材料だが、アナリストらはキャッシュフローが安定した配当銘柄については、紛争の不確実性が和らいだ際の回復を見据えた選別的な買い場になり得るとの見解を示している。
出典: Bangkok Post



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