タイ中央捜査局は、中国資本の企業がタイ人の名義を借りてココナッツ事業を違法に支配し、農家から不当に安い価格で買い取っていた実態を明らかにした。
タイ中部ラチャブリ県は、甘い香りが特徴の「芳香ココナッツ(マプラーオ・ナムホーム)」の一大産地として知られる。この芳香ココナッツは中国をはじめ海外で人気が高く、輸出品としての需要が年々拡大している。
■農家への買取価格は1個わずか2〜5バーツ
中央捜査局と事業開発局は火曜日に記者会見を開き、捜査の経緯を説明した。警察は土曜日にラチャブリ県内のココナッツ加工・輸出企業8社を家宅捜索し、うち6社がタイ国籍者に限定されている農産物の調達事業を外国資本が違法に行っていた事実を確認した。タイ人10人と外国人7人が起訴の対象となっている。
これらの企業は書類上タイ人株主が51%の株式を保有する形を取っていたが、実態としてタイ人株主は中国人投資家に雇われた従業員に過ぎなかった。タイでは外国人事業法により、農産物の調達や仲介などの業種は外国人の参入が制限されているが、こうした名義貸しの手法で規制を回避していたとみられる。
経済犯罪取締部門のタットプム・ジャルプラット警察少将は「農家へのココナッツ買取価格は1個あたりわずか2〜5バーツ(約8〜20円)に抑えられていた一方、加工後は中国などへ1個35〜50バーツ(約140〜200円)で輸出されていた。莫大な利益は外国人投資家へ送金されていた」と述べた。
■農家が取引から排除され価格が急落
タットプム少将はさらに「この手法によってタイ人農家は正常な流通ルートから締め出され、ココナッツの買取価格が全国的に急落・不安定化した」と指摘した。また、6社が脱税目的で虚偽の損失申告を行っていたことも判明している。
■名義貸し疑惑の企業は計15社に
捜査当局は月曜日、タイ人名義を悪用した疑いのある企業を計15社特定したと発表した。うち11社はラチャブリ県に拠点を置き、残る4社はバンコク近郊のサムットプラカーン県、パトゥムターニー県、サムットサコーン県、バンコクに所在していた。一部の企業はココナッツ農園を直接借り受けたうえで、収穫から加工、輸出までを一貫して手がける垂直統合型の事業を展開しており、これが農家への支払価格を低く抑え込む構造につながっていたという。
タイでは近年、中国資本による名義貸しを使った事業参入が農業や観光業など幅広い分野で社会問題化しており、政府も取り締まりを強化する方針を打ち出している。
出典: Bangkok Post



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