国連は、アフガニスタンの首都カブールにある薬物依存症治療施設が攻撃を受け、400人以上が死亡した事件について、独立した調査の実施を求めた。アフガニスタンを実効支配するタリバン政権は、この攻撃がパキスタン軍によるものだと強く非難しており、死者のほかにも多数の負傷者が出ていると発表している。
パキスタンとアフガニスタンの間では、国境地帯を拠点とする武装勢力パキスタン・タリバン運動(TTP)をめぐる緊張が長年続いている。パキスタン側はTTPがアフガニスタン領内から越境攻撃を行っていると主張し、近年はアフガニスタン領内への空爆や軍事作戦を繰り返してきた。一方、タリバン政権はこうしたパキスタンの軍事行動を主権侵害だとして反発しており、両国関係は悪化の一途をたどっている。
今回攻撃を受けた施設は薬物依存症患者の治療とリハビリを行う施設で、多くの民間人が収容されていた。アフガニスタンでは長年の紛争と貧困を背景にアヘンやヘロインなどの薬物依存が深刻な社会問題となっており、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告によれば、同国の薬物使用者は数百万人規模に上るとされる。こうした治療施設は人道支援の要として国際機関も支援に関わっている。
タイにとっても南アジア・中央アジアの不安定化は無関係ではない。タイは東南アジアにおける薬物密輸の中継地点としての課題を抱えており、アフガニスタン産のヘロインがミャンマーなどを経由してタイ国内に流入するルートが存在する。アフガニスタン情勢の悪化は国際的な薬物問題にも波及しかねず、タイの治安当局も動向を注視している。
国連のグテーレス事務総長は、民間施設への攻撃は国際人道法に違反する可能性があるとして、事実関係の速やかな解明を求めた。国際社会からはパキスタンに対し自制を求める声が上がる一方、パキスタン側は攻撃への関与を明確にしておらず、今後の外交的な展開が注目される。
出典: Bangkok Post



コメント