トランプ米大統領が人工知能企業との関係を制限する大統領令を発令してからわずか数時間後、米国防総省がアンソロピックのAI技術をイランへの軍事作戦に活用していたことが複数の情報筋の証言で明らかになった。この事実は、政権内の権力構造の複雑さと、急速に発展するAI技術を巡る統制の困難さを浮き彫りにしている。
アンソロピックは、OpenAIから独立した元幹部たちによって設立された新興AI企業で、安全性を重視した高度な言語モデルの開発で知られている。同社の技術が国防目的で利用されることは、AIの民間企業と軍事利用の境界線が急速に曖昧になっていることを象徴している。
情報筋によれば、これが初めての事例ではなく、過去にはマドゥロ・ベネズエラ前大統領の身柄確保作戦でも同様の技術が用いられたという。こうした事例が繰り返される背景には、政権内の異なる機関による指示系統の混乱、あるいは国防総省が独自の判断で先制的に対応している可能性が指摘されている。
今回の事態は複数の法的課題を生じさせている。大統領令の法的拘束力、AI企業と政府機関の契約の透明性、さらにはAI技術の軍事転用に関する規制枠組みの未成熟さなどである。同時に、xAIやOpenAIといった他の主要AI企業との契約内容も改めて精査の対象となっており、政権がAI技術の戦略的支配をいかに進めるかが焦点となっている。
タイをはじめ東南アジアの親米国家においても、こうした米国のAI政策の動向は極めて関心が高い。AI技術を巡る米中対立が深まる中、テクノロジー企業の中立性と政府権力の使用の問題は、グローバルな課題として受け止められている。
出典: Bangkok Post



コメント