タイで大規模な仮想通貨詐欺事件が発覚し、逃亡中の実業家ウォラワット・ナルクナウィー被告(通称アクメ)に対して国際手配の手続きが進められている。ウォラワット被告はタイで活躍するタイ・ドイツ系女優ヌッチャ・シューマッハーさんの夫としても知られる人物だ。
■独自トークン発行で投資家を勧誘 被害総額は13億バーツ超か
タイ警察の経済犯罪取締部門によると、ウォラワット被告は「ACT」と呼ばれる独自のデジタルトークンを発行し、法定上限の最大2倍にあたる高利回りを約束して投資家を勧誘していた。これまでに61人が被害届を提出しており、一人あたりの投資額は100万〜200万バーツ(約400万〜800万円)に上る。捜査を指揮するタットプム・ジャルプラット警察少将は「被害申告者はさらに増え、総被害額は数億バーツ規模に膨らむ可能性がある」と述べた。
月曜日には30人の被害者グループがウォラワット被告を提訴し、被害総額が13億バーツ(約52億円)を超えると主張。サンティ・プラチャタムクラブのタンクン・ジットイサラさんが被害者を代表して経済犯罪取締課に法的措置を求める請願書を提出した。同クラブはタイの市民権利擁護団体として知られている。
■証券取引委員会が2件の告訴 2024年11月に出国済み
タイ証券取引委員会(SEC)は2025年に入り、ウォラワット被告に対して2件の告訴を行っていた。第1件では検察に事件記録が送致され逮捕状が発付済み。第2件は約40人の被害者と推定被害額1000万バーツ(約4000万円)のオンライン投資詐欺に関するもので、こちらも逮捕状が出ている。タットプム少将によると、本件は違法な資金調達やネズミ講に該当する疑いがあり、デジタル資産事業の規制違反についてもSECと連携して調査を進めているという。
ウォラワット被告は2024年11月15日にタイ国外へ出国したとみられる。警察は逮捕状に基づきインターポール(国際刑事警察機構)を通じたレッドノーティス(国際手配書)の発行手続きを進めている。
■逮捕状を捏造と主張し著名人写真で信用獲得
捜査当局によると、ウォラワット被告は逮捕状が出ていることを「捏造だ」と主張し、著名人との記念写真を利用して自身の信頼性を演出していた。被害者の中には逮捕状の存在を知りながらもウォラワット被告を信用し、投資を続けた人もいたという。2024年以降も同様の手口で勧誘が続けられていたとされる。
警察はウォラワット被告のデジタルウォレットも調査中で、タイ国内外のウォレットを結びつける資金の流れが確認された。ただし現時点でウォレットに残る資金は100万バーツ未満と少なく、資産凍結には複数の関係機関との連携が必要になるという。また、共犯とみられる人物の逮捕状取得に向けた証拠収集も進んでいるが、妻のヌッチャさんについては現時点で関与を示す証拠は確認されていない。
出典: Bangkok Post



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