タイ政府が石油備蓄3倍化を命令 小売業者から反発の声

政治社会

タイ政府が中東情勢の緊迫化を受けて石油小売業者に備蓄量の3倍化を命じたことに対し、業界から強い反発が上がっている。

■中東危機でタイ政府が異例の備蓄増強命令

アッタポーン・レークピブーン暫定エネルギー相は、アヌティン・チャーンウィラクル暫定首相との会談後、石油小売業者に対して備蓄比率を現行の1%から3%へ引き上げるよう指示したと発表した。備蓄比率は各社の年間取引量をもとに算出される。同大臣は「国民の安心感を高めるための措置だ」と説明し、政府として中東以外からの石油調達先の確保や、国全体の備蓄日数を現在の60日分から95日分へ増やす取り組みも並行して進める方針を示した。アヌティン暫定首相はすでに命令書に署名しており、燃料管理法に基づく法的拘束力のある措置となる。エネルギー省のヴィラパット・キアットフンフー次官補によると、小売各社は今月中にまず1.5%へ引き上げ、4月には3%まで段階的に増やす義務を負う。

■小売業者は負担増を懸念 利益率の低さが直撃

これに対し、タイ国内でPTガソリンスタンドを展開するPTGエナジー社のラングスン・プアンプランさんは、備蓄量が3.6日分から約11日分に膨らむことになり、追加の石油購入費や貯蔵施設の賃料が経営を圧迫すると懸念を示した。同氏は「現状でも利益率が低く、負担が大きすぎる。石油をいつまで保管すべきか見通しが立たず、国際原油価格がいつ正常化するかも不明だ」と訴えた。PTGエナジーはタイ全土に約2,000カ所以上のガソリンスタンドを展開する大手で、地方部での存在感が大きい。

また、同じくタイの石油小売大手スソコ社のチャイリット・シマロージ社長も「1.5%までは対応できるが、それ以上は重い負担になる」と述べ、実現可能な水準について政府と協議する考えを示した。

■原油高騰でタイ国内の燃料価格も凍結中

背景には、中東情勢の緊張で過去1週間に国際原油価格が15~20%急騰した事情がある。タイ当局はこれを受け、3月17日までガソリンとディーゼルの小売価格を凍結する措置を発動した。市場価格と小売価格の差額は、政府系の石油燃料基金が補填する仕組みだ。タイは原油の大部分を中東からの輸入に依存しており、国際原油価格の変動が国内の燃料価格や物価に直結しやすい構造となっている。今後、備蓄コストの増大が燃料価格や物流コストに波及すれば、タイ在住の日本人の生活にも影響が及ぶ可能性がある。

出典: Bangkok Post

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