タイ深南部ナラティワート県で、人権派として知られる下院議員が武装集団に襲撃される事件が発生した。議員本人は無事だったが、同乗していた2人が重傷を負った。
銃撃を受けたのは、野党プラチャーチャート党所属のカモンサック・リーワモーさん。地元警察によると、事件は金曜日午前1時ごろ、ナラティワート県バーチョー郡の自宅前で起きた。カモンサックさんはバンコクの国会でアヌティン・チャーンウィラクン氏を次期首相に選出する投票に出席した後、帰宅した直後だった。
アヌティン氏はプームジャイタイ党の党首で、副首相兼内務相などを歴任した有力政治家。今回の国会投票で次期首相に選出された。
防犯カメラの映像には、ピックアップトラックに乗った銃撃犯がカモンサックさんの車両に重火器で約10発を発砲し、猛スピードで逃走する様子が記録されていた。カモンサックさん本人にけがはなかったものの、運転手と警護の警察官が重傷を負い、病院に搬送された。
カモンサックさんはタイ最南部で活動する著名な人権弁護士でもある。2004年に治安部隊がイスラム教徒の抗議者ら85人を死亡させた「タークバーイ虐殺事件」の責任追及運動や、治安当局との衝突に巻き込まれた民間人を救済するための法改正に取り組んできた。タイ深南部のナラティワート、ヤラー、パッタニーの3県ではマレー系イスラム教徒の分離独立運動が続いており、2004年以降、治安部隊との衝突や爆弾テロなどで7000人以上が犠牲になっている。
2024年にはバンコク・ポスト紙のインタビューで「公務中の当局者が関与した死亡事件を規定する法律を改正する時が来ている」と訴えていた。
プラチャーチャート党はこの襲撃を強く非難し、平和な社会にとって危険な前例になると警告した。同党のスカルノ・マタ幹事長は犯人の迅速な逮捕を求め、「今回の犯行は国の法執行に対する重大な挑戦だ」と述べた。さらにスカルノ幹事長は、カモンサックさんが国会議員と人権弁護士という二つの立場を持つことから、政治的対立もしくは南部の武装勢力による犯行の両面で捜査すべきだとの見方を示した。
タイ南部では政治家や行政関係者を狙った襲撃事件がたびたび発生しており、今回の事件も治安情勢の深刻さを改めて浮き彫りにしている。
出典: Bangkok Post



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