タイの野党・人民党(ピープルズパーティー)が大規模なデータ漏洩に見舞われ、党内外から激しい批判を受けている。漏洩は2月23日に発生し、党員の氏名、身分証明書番号、住所、生年月日、電話番号、メールアドレス、入党申請書類といった広範な個人情報が流出した。党は党員に対しパスコードの変更を呼びかけたが、個人情報の窃盗や詐欺被害への懸念が広がっている。
■与党プームジャイタイ党が厳しく追及
連立与党プームジャイタイ党の法務責任者であるスパチャイ・チャイサムット議員は、フェイスブック上で「謝罪やIDカードの再発行を勧めるだけで済む問題ではない」と厳しく指摘した。スパチャイ議員は「2019年に施行されたタイ個人情報保護法(PDPA)は、国民のデータを厳格に保護することを義務づけている。データは単なる数字ではなく、個人の権利と安全そのものだ」と強調。不正アクセスを許したシステムの脆弱性や、十分なセキュリティ対策が講じられていたのか、責任の所在はどこにあるのかについて透明性ある説明を求めた。
なお、人民党は今後の議会投票でナッタポン・ルアンパンヤーウット党首を首相候補に指名する意向を示しているが、実際にはプームジャイタイ党のアヌティン・チャーンウィラクン党首が選出されるとの見方が有力だ。アヌティン党首はタイの副首相兼内務相も務める実力者として知られる。
■著名YouTuberも懸念を表明
タイで「9arm(ナインアーム)」の名で知られるITコンテンツクリエイターのタナノン・パティンヤサックディクンさんも声を上げた。タナノンさんは米テネシー大学でコンピュータサイエンスの博士号を取得した専門家で、チャンネル登録者数150万人を誇る人気YouTuberだ。漏洩データの範囲が極めて広いことを指摘し、人民党に対してより詳細な説明を要求した。投稿のコメント欄には、人民党の支持者を名乗るユーザーからも明確な説明を求める声が相次いだ。
■タイ国民IDの流出がもたらすリスク
人民党はバンコク中心部のチュラ・ソイ5にある「スタジアム・ワン」で党員募集や寄付の受け付けを行っており、入党手続きの際にタイの国民身分証明書に記載されたレーザーID番号など重要な個人情報を収集していた。このレーザーIDはタイ国内での本人確認や銀行取引などに欠かせない英数字コードで、流出すれば不正利用のリスクが極めて高い。タイでは近年、個人情報を悪用した詐欺やなりすまし犯罪が社会問題化しており、今回の漏洩は政治的な問題にとどまらず、党員の生活に直結する深刻な事態として受け止められている。
出典: Bangkok Post



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