タイの有名皮膚科医が医師免許を返上 医療倫理制度への抗議

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タイで美容医療の専門家として知られるコンクワン・フジトニルン医師(通称ドクター・ケイト)が、医療倫理制度への不満から医師免許をタイ医療評議会に返上した。20年のキャリアを手放す決断の背景には、医療関連の発言が繰り返し倫理違反と指摘される現状への怒りがある。

バンコクの医療評議会事務所に免許証を提出したコンクワンさんは、政治や栄養補助食品などの話題について公に発言するたびに、評議会から懲戒処分の対象とされてきたと語った。美容医療クリニック「KKC」の共同創設者でもあるコンクワンさんは、医師が特定の医療テーマで発言すると口を封じられる現状を強く批判してきた。

コンクワンさんによると、評議会は特定製品の宣伝を理由に処分を検討する一方で、違法な注射薬を売る偽医者は野放し状態だという。「では誰が正確な情報を公衆に届けるのか。知識のある医師こそが発言すべき立場ではないか」と声明で主張した。

コンクワンさんは、評議会の倫理審査システムが恣意的だと指摘する。実は行政裁判所で勝訴した案件もあるが、評議会がその判決を受け入れなかったケースもあったという。さらにコロナ禍での公職者への異議唱和に対して当局から報復を受けることもあったと述べた。

タイでは医療評議会による厳格な倫理規制がある一方で、医療情報がネット上で氾濫する現状がある。この矛盾に直面してきたコンクワンさんは、「制度が機能しないなら選択肢は二つ。修正するか去るか」と自身のソーシャルメディアに投稿した。

医師免許返納後、コンクワンさんは患者治療や医療行為はできなくなる。ただし広告出演やメディア出演、医薬品の宣伝は可能となる。「医療評議会の首輪なしに、より自由に発言できるようになる」とコンクワンさんはコメントした。この決断がタイの医療倫理制度に波及効果をもたらすかは不透明だが、医療従事者と規制当局の関係が問い直される事例として注目を集めている。

出典: Bangkok Post

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