タイで猫ブーム加速 飼い猫400万匹超えで猫経済が急拡大中

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バンコク発 — 少子高齢化や単身世帯の増加が進むタイで、いま空前の「猫ブーム」が巻き起こっている。都市部を中心に猫を家族として迎える人が急増し、ペット関連市場が爆発的な成長を遂げている。

■タイのペット市場は3倍に拡大へ

タイ大手商業銀行TMBタナチャート銀行(ttb)の調査部門「ttbアナリティクス」のデータによると、タイのペット市場は年平均13〜18%のペースで成長を続けている。2019年に約330億バーツ(約1,350億円)だった市場規模は、2026年には約1,014億バーツ(約4,150億円)に達する見通しだ。

とりわけ注目されるのが猫人気の高まりだ。バンコクのコンドミニアムなど限られた住居スペースでも飼いやすく、散歩の必要がない猫は、忙しい都市生活者にとって理想的なパートナーとなっている。タイ大手カシコン銀行傘下のシンクタンク「カシコン・リサーチセンター」によると、タイ国内の飼い猫の数は年20〜25%のペースで増加しており、2026年には全国で400万匹を突破する見込みだ。

■ペットを子ども代わりに 1匹に年間20万円以上支出する飼い主も

このブームの背景には「ペットの人間化」と呼ばれるトレンドがある。出生率が低下するタイでは、ペットを我が子のように育てる飼い主が増えており、アナリストらはこの現象をさらに進んだ段階として「ペットリアーキー(ペット家父長制)」と表現する。ペットの好みや健康状態が、住居選びや日々の消費行動など家庭の意思決定に大きな影響を及ぼしているというのだ。

消費データにもこの傾向は如実に表れている。ペットを家族同然に扱う層の飼い主は、1匹あたり年間平均約50,500バーツ(約20万7,000円)を支出しており、これは従来型の飼い主の約6倍にあたる。支出の最大の割合を占めるのはペットフードで全体の45%に達し、飼い主の半数以上が人間が食べられる品質の原材料を使った「ヒューマングレード」のフードや、全体的な健康を重視した「ホリスティック」食材を選んでいる。さらに、動物病院での予防医療や健康診断といったウェルネス関連の支出も1匹あたり年間10,000〜30,000バーツ(約4万〜12万円)に上り、特に若い世代の飼い主ほど予防ケアに積極的だ。

■輸出でも存在感 タイ産キャットフードが世界市場を席巻

タイは世界有数のツナ缶生産国でもあり、その強みを生かしてペットフードの輸出大国としての地位を固めつつある。タイ国際貿易振興局によると、ツナや高品質な原材料を使ったプレミアムウェットキャットフードが好調で、2026年のペットフード輸出額は30億米ドル(約4,500億円)に達する見通しだ。

タイ最大級の展示会運営会社IMPACTエキシビション・マネジメントの業界アナリストは、今後の猫経済で高成長が期待される分野として、腸内環境や毛並みの改善を目的とした機能性ペットフード、自動給餌器や見守りカメラなどのスマートペットテクノロジー、自宅に来てもらえる出張グルーミングサービス、高級志向のブティック型キャットホテル、ペット飼育可の不動産物件、そしてペット保険を挙げている。

一方で、規制の整備も進んでいる。バンコク都が2024年に施行した動物管理条例では、飼い主にマイクロチップの装着とデジタル登録が義務付けられた。また、20〜80平方メートルのコンドミニアムや賃貸住戸での飼育数は1匹までに制限され、集合住宅での衛生環境改善やペットに関する住民トラブルの軽減が図られている。

タイ在住の日本人にとっても、この猫経済の拡大は身近な変化だ。バンコクの商業施設には猫カフェや高級ペットショップが続々と出店し、日系のペット関連企業がタイ市場に参入する動きも加速している。少子高齢化という日本と共通する社会課題を抱えるタイで、猫が経済の新たな主役になりつつある。

出典: Bangkok Post

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